肝臓病の食事療法

肝炎と肝硬変が代表的
 肝臓病の代表的となるものは、肝炎と肝硬変です。その他にもいろいろありますが、それらをひっくるめて、肝臓病一般の食事療法を初めに述べることにします。


 肝臓病一般の原因となる飲食関係では、

@白砂糖のとりすぎ。
A動物性脂肪・蛋白質(肉)の過食。
B植物性油の油いため。
C酒類の過飲。
D強い刺激性食品の過剰摂取。
EビタミンBの欠乏。
    があげられます。


肝臓病の食事療法の要点としては、


@以上の要因を除去する。
AビタミンA、D、K、Cも不足せぬようにする。
B各種栄養素のバランスをよくする。
C肉類、卵の動物性蛋白質、脂肪を控える。
D植物性蛋白質を多くとる。大豆、納豆、湯葉、ふ、もやし、豆腐、玄穀類など。とくに「ふ」は消化がよいのでなるべく多く食べる。
E植物性脂肪を少量取る程度にする。
F肝臓の機能を強める成分。リジン、タウリンなどを多く含む食品を取る。
G塩分をとりすぎない。
Hクエン酸を多く含む果実をとる。リンゴ、みかんなど。
  肝臓機能を強める成分と含有食品
リジン・・・かき(貝)
タウリン・・・なまこ、あわび、しじみ
アルギニン・・・豆もやし
ヒスチジン・・・豆もやし
メチオニン・・・セロリ
マンガン・・・茶
イノシトール・・・玄米、ごま、とうもろこし。
コリン・・・玄米、ごま。


有効な食物
以上の強肝食品のほか、昆布、ひじき、青のり、にら、にんにく、人参、トマト、かぼちゃ、ほうれん草、せり、ふ、大豆、納豆、湯葉、豆腐、小豆、リンゴ、みかん、レモン、柿、梅干、クズ、らっきょう
さけたい食物  肉類、卵、マグロ、さば、かつお、たい、とびうお、こしょう、わさび、とうがらし、カレー粉、酒類。
  青汁療法  肝臓病一般に対して、青汁療法も有効です。材料としては、大根葉、人参葉、キャベツ、ちしゃ、ほうれん草、春菊、玉ねぎ、セロリ、パセリ、せり、人参などがあげられます。
 高蛋白、高カロリーは正しいか?
 現代医学の食事療法では、高カロリー、高蛋白、高ビタミンが行われています。とくに動物性蛋白質を多くとるように進めています。したがって肉類、卵、牛乳、乳製品などが推奨されます。これに対して多くの食用指導家は、肉類、卵などの動物性蛋白質をよくないと排斥しています。骨ぐるみ食べられる小魚と貝類だけに限って、動物性タンパクをみとめている程度です。血液の酸性化を重視するからです。この点、血液の酸性化にまったく無関心の現代医学の食事療法のあり方は、治療効果に大きなマイナスを負っているといえましょう。
 次に高カロリーも大きな問題です。諸病の要因にカロリーの過剰があります。低カロリーが治療の方法となるのはそのためです。肝臓病も同じです。「過ぎたるは及ばざるがごとし」でカロリーが多すぎてよいというものではありません。
 蛋白質は人体にとって重要な栄養素ではありますが、これとて多すぎてよいものではありません。とくに動物性蛋白質の過剰は、併存する脂肪とともに血液を酸化するために諸病を招くもととなります。高蛋白、高カロリーの掛け声には十分の批判と吟味が必要です。  

民間食物療法
[せロリ]を常食していると、肝臓の機能が強まり、肝臓病に有効です。セロリにはビタミンB群とともに、含流アミノ酸の一種のメチオニンが含まれているためです。
[納豆]には肝臓の解毒作用を強める働きがあります。
[みそ]は肝臓の機能を強める効能があります。したがって、若布、ふ、しじみ、ねぎの白根、豆腐、青菜、などを入れたみそ汁は、肝臓に効果があります。
[酢卵]は肝臓病に有効です。
[しじみエキス]昔からしじみ汁が黄疸や肝臓によいといわれているが、しじみエキスは肝臓病や横断によく効きます。
  肝臓を害する食品添加物や農薬
 着色料、防腐剤、漂白剤、人工甘味料などの添加物の中には、質的には、あるいは量的には肝臓を害するものがあります。これらの有害食品添加物の入った加工食品をさけることが肝臓病の予防にも治療にも大切な心がけです。
 またBHCやエンドリンなどの農薬が残留する野菜や果物、PCB(ポリ塩化ビフェニル)に汚染された魚介類、あるいはBHCなどの農薬が飼料を通じて入り込んだ牛乳、牛肉なども肝臓を害する食品なので、これらも避けなければなりません。
 その他、降圧剤や、精神安定剤、解熱鎮痛剤など種々の化学薬剤の副作用として肝臓障害を起こすことが分かってきました。
 いいかえれば、人体に有害な公害物質は、肝臓の解毒作用によって無毒化されるのですが、あまり多くの公害物質の侵入にさらされると、解毒しきれず肝炎などの障害をこうむるようになるのです。これらをさける努力も肝臓を守るために大切です。