脳の血管が破れて脳内出血を起こす脳出血と、脳の血管がしだいに狭くなりついに閉塞するに至る脳軟化症を含めて、脳卒中と呼んでいます。
脳卒中は突然に起こる発作であるため、治療法としては、発作が起こったときの処理と発作後の身体マヒの機能回復とが重要視されます。食事療法もその線にそって適切を得ることが大切です。
意識が回復したら流動食を
昏睡中は絶食したままでいるに限ります。1週間や2週間も食べないからといって、衰弱死するものではありません。
しかし水分は必要ですから、7日以上を意識が回復しないときには、おも湯や野菜スープ、果汁などを少しずつ、口の中に注ぎこんでやります。
意識が回復してきたならば、流動食からカユ食をへてだんだん普通食にもどします。
有効な食物
玄米、そばがき、大根、にんじん、かぼちゃ、ごぼう、ねぎ、セロリー、トマト、大豆、あずき、黒豆、昆布、若布、ひじき、のり、椎茸、かき貝、しじみ、梅干、柿、小魚。
よくない食物 肉類、卵、白砂糖、白米、まぐろ、さば、かつお、さけ、ます、たい、あじ。
民間食物療法
【柿しぶ】を18cc(約1勺)に同じ量の大根おろしのしぼり汁を加え、これを1回量として、1日に2〜3回空腹時に飲みます。7日間続けて服用したなら、7日間休み、また7日間服用するのです。これを何回もくり返すと脳卒中で半身不随になった後遺症が治ります。
【大根おろし】にショウガのしぼり汁を加え、水飴を入れて飲むと、脳卒中の後遺症に効きます。
【大根飯】が半身不随によく効きます。作り方は、大根を千切りにして煮たのを米飯が吹き出したときに汁ごと入れて炊き上げるのです。
【大豆】を味つけずに煮て、ドロドロになるまでします。それを少しずつ病人の口の中に入れてやります。脳卒中で倒れて口がきけなくなった場合も、それを食べて少しずつ口がきけるようになります。
【酢卵】は半身不随の初期に有効です。
【ごぼう】を食べると気血のめぐりをよくし、手足の不自由に活力を与え、半身不随を治す効果があると昔から伝えられております。
【切干大根】を一つかみ、水で煎じた煎汁をコップ1杯飲むと、倒れて間もなくの脳卒中に著効があります。
脳卒中の予防法
脳卒中はわが国の死亡率順位の第1位を占めつづけています。発作が起こって倒れたなら、そのまま死亡か、半身不随かに分かれます。以上のような療法で半身不随の治る道があるにしろ、倒れる前に予防するほうがはるかに良策です。
脳卒中は高血圧によって起こるのですから、高血圧の治療法がそのまま脳卒中の予防法となるわけです。ただここには、とくに脳卒中の予防効果が知られているものをかかげておきます。
血管の破れを防ぐビタミンCとP
脳卒中を防ぐのに有効な栄養素としては、ビタミンA、B類、C、D、K
P、カルシウムがあげられます。とくにビタミンC、Pが不足すると血管が破れやすくなるのがわかってきました。ビタミンAは血管内で血液の凝固を防ぐヘパリンという物質の生成に必要であることが、最近になって判明するに至りました。
次に海草に含まれる「アルギン酸硫酸エステル」という成分は、コレステロールや脂肪を溶解して、血管壁に付着するのを防ぐ効能があります。したがってこの成分も脳卒中を防ぐことができます。
ビタミンCを多く含む食品・・・パセリ、ピーマン、ほうれん草、小松菜、大根の葉、アスパラガス、しその葉、京菜、キャベツ、かぶの葉、トマト、レモン、オレンジ、夏みかん、パイナップル。
ビタミンPを多く含む食品・・・レモン、みかん、あんず、いちご、トマト、ピーマン、そば、大根。
アルギン酸硫酸エステルを多く含む食品・・・ひじき、若布、昆布
民間食物療法(予防)
【椎茸】にはエルゴステール(植物性の油脂)とビタミンDを含み、コレステロールを低下する働きがあります。毎日椎茸を2グラムずつ食べると、脳卒中を予防することができます。
【そば】には脳卒中を予防するルチン(ビタミンP)が含まれています。
【大根】にもビタミンPが含まれていますので、脳卒中の予防に有効です。